
多様な生き方が選べるようになり、自分の人生をいかに生きるか、選ぶ力が求められる時代になってきました。
大切にしたいことや目標を確認して、自分らしい未来を描く力をつけるよう、一昨年度から始まった「ライフデザインワークショップ」の出前授業。
経験豊富なキャリアコンサルタントなどの外部講師を学校に招いて、愛媛県下の高校6校で開催しました。
令和7年度の実施校は以下の通り。(開催順)
・愛媛県立東温高等学校
・愛媛県立宇和島南中等教育学校
・愛媛県立上浮穴高等学校
・愛媛県立新居浜東高等学校
・私立新田青雲中等教育学校
・私立松山東雲中学・高等学校

講義は下記の流れで進行しました。
○導入:今、なぜライフデザイン?
○ワーク1 自分の価値観発見シートの作成
○講義:人口減少、働き方の多様化と意識の変化、男女の働き方の違い、結婚、出産
○「プレコンセプションケア」について動画視聴
○講義:家事や育児の現状、男女参画
○ワーク2 ライフデザインシート作成
○TODOリスト作成
○まとめ

家庭科・保健体育等の時間を活用し、50分×2コマ(計100分)で実施。
今年度からは、講義の内容やワークシートを一冊にまとめたライフデザインノートを活用。
直接書き込めるワークシートに、愛媛ゆかりのお笑い芸人ティモンディさんからのメッセージ記事もあり、愛媛県の現状や時代の変化をより正確に詳しく知るためのデータも満載。
盛りだくさんなテキストブックを手にした生徒さんからは「グラフとか色使いがわかりやすくていい」と感想をいただきました。

授業は元気のいい号令と挨拶からスタート。活気のある空気が満ちていました。
はじめに先生より挨拶があり、「これからをどう生きるか、自分事として考えてほしい」と生徒たちへ語りかけました。
教師を目指したきっかけやこれまでの経験、苦労話が語られ、普段あまり聞くことのない先生自身のお話に、生徒たちは真剣な表情で耳を傾けていました。

寿命が延びて「人生100年時代」と呼ばれるようになった長い人生をどうするのか?
生徒に質問すると100年時代という言葉は知っていても、100歳は想像もつかない、身近な20代でもぼんやりしているという回答が。
そんな時代だからこそ、自分の生き方を主体的に考えることの大切さが伝えられました。
■平均寿命と健康寿命には差がある、いかに健康に過ごせるかが大事
■人生は3ステージ(学校、仕事、老後)からマルチステージへ移りつつある
希望する職業にすぐ就けなかった方が、回り道をしながらも最終的に夢を実現した事例から、「何度でも見直しながら人生を描いていく」ことの大切さを強調されました。
さらに、海外の例としてドイツでは早期に進路が分かれる一方、日本は自由に選択できる環境にあることも紹介され、生徒たちは自分たちの可能性の広さを実感していました。

ライフデザインを考えることが自分の進路に役立つことを伝え、最初のワーク「価値観発見シート」の作成に入ります。
自分が何を大切に考えるのかを、過去の出来事を書いていきながら浮き彫りにしていきます。
「難しい」と感じる人もいましたが、真剣に考え、言葉にしようと一生懸命に考える姿が印象的でした。

先生や講師の助けを借りながら、書き進めていく生徒たち。
終了時間が来たら、席の近い人同士でグループをつくり、何を書いたか、どんなことを発見したかのグループトークです。
わっと一気に話し合う声で教室は賑やかに。
クラスによって雰囲気が違い、真剣に話すクラス、笑い声が響くクラスとそれぞれでした。

書いたことをみんなに共有できる人は、感想や気づいたことを発表してもらいました。
「卒業式で先生が涙を流してくれたこと」「大会での優勝経験」「リーダーとしての挑戦」
さらに、「ランニングを続けたことで継続の大切さに気づいた」「ボランティア活動を通して人の役に立つ喜びを知った」
とそれぞれ違う価値観や経験が出てきました。
元気な声で周りを笑いに誘う人もいれば、ちょっと恥ずかしそうに話す人も。
今まで気づかなかった自分の一面を発見できたことは、新鮮な経験だったようです。

講義は少子高齢化社会の現状や、働き方の多様性についても触れました。
授業が進むにつれ、若者の価値観の変化や、女性の働き方についても触れられ、
「コラムの生涯賃金の差をみて、自分のお母さんがこんな感じなのかなと思い、びっくりした」という感想を持つ生徒も。

子育てをテーマにした話し合いでは「お金」という現実的な意見が多く挙がり、グループワークも徐々に活発になっていきました。

また、未婚化・晩婚化についてのデータでは、実際には多くの人が結婚を望んでいる現状が紹介され、生徒たちは驚いた様子でした。

中盤では妊孕性に関する動画を視聴。助産師の話に真剣に見入る生徒が多く、健康や将来設計について考えるきっかけとなりました。
視聴後に前半講義の感想を聞くと「健康寿命と平均寿命の差が気になった」「将来のために今から何ができるか考えたい」といった声が聞かれました。
ジェンダーに関する内容では、先生を想定した例え話に「あの先生かな」と身近な先生をあげて教室から笑い声があがるシーンも。
楽しみながら理解を深めて、「思い込みや情報不足をなくすことが大切」ということも学んでいきました。

次のワークに行く前に、お笑いコンビ・ティモンディさんからのメッセージ動画を視聴。
画面が映し出された瞬間に歓声が上がり、生徒たちは一気に引き込まれていました。
「やればできる」という力強い言葉が響いた、という感想も出ました。

ワーク2のライフデザインシートの作成に取り組みます。
ここでは人に聞いたりせず自分自身と向き合う時間が重視され、「できそうなことに限らず、やりたいことを書いていい」と伝えられました。
教室には静かな集中が生まれ、生徒たちは真剣に書き進めていました。
どのクラスも先生と講師が巡回して、質問に答えたり、手が止まっていたらアドバイスをしたりしました。

続けて自分の作ったライフデザインを実現するために、今からできること、やることをリスト化したTODOリストの作成です。
将来のイメージを具体的な行動へとつなげていきます。

ワーク後はグループで共有を行い、互いの考えに刺激を受けながら活発な交流が生まれました。
一方で、まだ将来像を描ききれない生徒もおり、それぞれの段階に応じた気づきの場となりました。

発表では、
「20歳から四国以外でもいろいろな場所へ旅行したい」
「22歳大学卒業後、英語を勉強して海外で就職。国際結婚をして子どもは2人ほしい。書いたことが叶ったらいいな」
「資格を取得したい」
など、前向きで具体的な目標が多く共有されました。
中には「130歳まで生きたい」「たくさんの子どもを育てて社会に貢献したい」といったユニークな意見もあり、生徒一人ひとりの個性が表れていました。
一方で「19歳くらいまではしっかり書けたがその後は難しくて書けなかった。23歳の自分の未来が想像できない」という生徒には、講師が
「想像できないのはなんでもできる可能性があること、時間があれば書けたかもしれないから、TODOリストにいれてみて」とやり取りする場面も。

発表後に講師は、
「人生を考えても考えなくても時間は同じ。気が付けばここにいたより、行きたいところに行けると満足度が違うので、ぜひ考えてみて。毎日の積み重ねで自分の物語を作ってほしい」とまとめました。
講義後には、
「目標が見つかった」「健康の大切さを実感した」「将来を考えることの難しさを感じた」といった率直な感想が寄せられました。

それを受けて講師から「これまでの経験や価値観は必ず力になる。皆さんは自分の人生の主人公であり、今からなら何者にもなれます」とメッセージが送られました。
先生からも、家事や女性進出にも触れ、これからの前途が洋々となることを願うと語られ、授業は締めくくられました。

今回の授業は、生徒一人ひとりが自分の未来に向き合い、その第一歩を踏み出す貴重な時間となりました。
日々の積み重ねが、自分だけの物語をつくっていく――そんな気づきにあふれた100分間でした。
人生は考えても考えなくても同じ時間が流れます。
気が付けばここにいたより、行きたいところに行けた方が満足度が違いますので、何も考えずにたどり着くより自分で考え、選び、進んでほしいと思います。
高校生の皆さんにとって、この講座が未来を切り拓く小さなきっかけになれば幸いです。
【アンケート結果より】
○人生設計への理解や知識を得られたか(「得られた」「やや得られた」):96%
○参加してよかったか(「良かった」「やや良かった」):98%
<その理由>
・色々な話を聞いて、新しい考えを見つけることができたから。
・あまり自分自身について考えることがなかったので、こういう機会があってよかったと思ったから。
・データなどを見て、全国平均と比べたとき愛媛はどれくらいなのかや、女性と男性の差を知ることができて勉強になったから。
・まだ何がしたいかとか、何になりたいとか全く決まってないけど、未来のことを考えることが楽しかったから。
・自分を見つめ直す時間をじっくりつくってきたことがなかったので、改めて今は何ものでもないから、自分のペースで納得のいく人生計画を立てようと思えたから。
○感想
・正解も不正解もない未来の人生を考えるのがとても楽しかったです。
・仕事・家事・育児を両立していけたらなと思いました。
・講師の方の話も分かりやすく楽しい授業でした。
・夢や目標はあるけどそれを達成できるのか分からないから周りに示さなかったし、自分でも曖昧にしていた。それをハッキリさせるきっかけになった。後悔しない人生を生きたい。
・動画やみんなで話す機会が多いのでいいなと思いました。最高な授業ありがとうございました。
ご協力いただきました先生方はじめ学校の皆様、ご参加いただいた生徒の皆さん、ありがとうございました。
